理想的な寝姿勢を実現するために研究し開発した、身体にやさしいマットレス。
より快適な眠りをお届けしたいから、身体への負担を軽減させる「体圧分散」に着目したマットレスをつくりました。

開発ストーリー

「整圧®マットレス」の開発に携わった志村洋二さんに商品誕生までのお話を伺いました!

今までにないマットレスを作る

「従来品を超える商品を開発してくれ」というオーダーからプロジェクトはスタート。重責ではあるものの、やりがいは十分。志村さんたち開発チームはまず、目指す商品のアウトラインを定めることにしました。
従来品にも採用しているウレタンという素材は、汗を吸わないのでムレやすいという性質があります。ウレタン寝具が抱える宿命的な課題です。「ムレにくい」ことは、外せないテーマでした。
さらに、もうひとつテーマとして掲げたのが、寝姿勢保持と体圧分散効果の両立。従来品は、体圧分散効果の高いマットレスですが、体圧がかかる突起だけでなく、隣接する突起にも影響を与え、多少ハンモック現象を起こしてしまいます。
各突起が独立してカラダを保持できる構造はないか。これらを大きなテーマとして掲げました。

「ここのスリットの形状が…」と当時を振り返る

最初のアイデア

「その時点で、実はある形状を思い描いていました」と、志村さんは当時を振り返ります。
「突起をより多く設け、ブロック構造にすることです」。
つまり、突起がついた約10センチ角をひとつのブロックにし、ブロックとブロックの間にスリットを入れて区切っていくという方法でした。この形状だと、体圧がかかったブロックの突起だけが沈み、他のブロックに影響を及ぼさないので、ハンモック現象を起こしにくいのです。
その上、スリットが風の抜けを良くし、通気孔を設ければ湿気を逃がす効果も高まり、ムレを抑えることもできます。「このアイデアはいける!と確信しました。スムーズに開発が進むだろうと楽観視していましたね」。
ところが、待っていたのは思いもかけない事態でした。

壁を乗り越えて

商品を開発し、製品化する前に、必ず通る道があります。それは特許問題です。志村さんたちが初めに考えたブロック構造という形状には、様々な特許があり開発は難航します。
「ショックでしたね。同じ効果が得られる他の形状はないものかと頭を悩ませました」と、志村さん。いい解決策は簡単には思い浮かびませんでした。
そんな時、開発チームの一員として参加しているメンバーから提案がありました。「底にもスリットを入れたらどうだろう」と。
上面はタテにスリットを入れ、底面はヨコにスリットを入れることで、機能性だけでなく通気性もアップさせる事ができます。
その考え方を元に、何十回、何百回と試作を作りデータ検証を繰り返しながら、構想から約2年後、ついに現在の形状の原型ができました。

研究当時に試行錯誤した断面の形状

細部にもこだわり

「その後も、試作品を作って、データを収集し、修正して・・・その繰り返しでした」。
地味な作業が続く中、細かな調整を加え、細部までアイデアをちりばめながら、完成に一歩一歩近づいていきました。
例えば、寝心地を向上させるための工夫。「寝心地をもっとソフトにしたかった。
横向き寝でも肩に負担がかからないよう、クッションになる部分がほしかったんです」。整圧マットレスの断面図を思い起こしていただくと、スリットの先が丸く膨らんでいるのがわかります。
この丸いカットがクッションの役割を果たし、横向き寝でも快適な寝心地を生み出しているのです。
突起も絶妙な高さを追求。「よりムレにくくするために、突起をもっと高くという声も出ました。
しかしこれ以上高いと、突起が変な方向に潰れてしまう。本当にちょうどいい高さが、今の形状なのです」。

今でも大事に保管してある研究資料の数々。

不安のデビュー

こうして細部までこだわった整圧マットレスが、2002年ついにデビューを果たしました。
「売れるのか。返品されないだろうか。消費者の感想は・・・いろんな不安でいっぱいでした」。
実際に発売当初、売れ行きは芳しくなかったそうです。高価なこと、知名度がある従来品のほうが売りやすい・・・などが原因だったようです。
しかし、ご購入者からのアンケートハガキを読むと、満足の声が多く、徐々に売上も伸びてきました。発売から2年後の2004年には、日本生理人類学会のPAデザイン賞を寝具で初めて受賞。
今や理想的な敷き寝具としてゆるぎない地位を確立しています。
整圧マットレスの誕生には、日本睡眠科学研究所をはじめ、志村さんや様々な人が関わりました。
「一人ひとりの個の力が発揮されて、チームワークの力になった。開発室のスタッフ、商品課のメンバー、製造メーカーや工場の方たち・・・それぞれが自分のやるべきことを果たした結果だと思います」。