ふとんのお悩み解決室
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高反発と低反発?
プロが語る身体に合うマットレスの正しい選び方
近年、敷き布団に代わって人気が高まっているマットレス。「興味はあるけれど、種類が多くてどれを選んだら良いか分からない」という方も多いのではないでしょうか。最近ではパターンオーダータイプの商品も登場し、その魅力はますます広がるばかり。そこで今回は、さまざまなマットレスの種類と機能性、選び方をお教えします。
ふとんのタカハシ
高橋 武良
創業1967年、徳島県内に3店舗、香川県内に3店舗を展開する「ふとんのタカハシ」の代表取締役社長。四国屈指の規模を誇る寝具専門店として、地域の眠りを支えている。
快眠を求めるなら、時代は敷き布団よりもマットレス。
敷き寝具って、眠りとどんな関係があるんですか?
条件を満たせば、敷き布団でもマットレスでも同じということですか?
残念ながら、一般的な敷き布団はあまり寝心地が重視されておらず、詰め物もすぐにへたりやすい。ふかふかのものでも、いわゆる煎餅布団のような硬いものでも、「自然な寝姿勢の保持」と「体圧分散」の力は、いずれも不十分と言わざるを得ません。不自然な姿勢で寝返りが増えて熟睡の妨げになったり、肩や腰に圧力が集中して肩こりや腰痛になったりすることも考えられます。
一方、「自然な寝姿勢の保持」と「体圧分散」を追求して開発されたマットレスは、身体にフィットして圧迫が少なく、寝返りが減って熟睡できる、起きた際に身体に痛みを感じないなど、一定の効果が期待できます。
現在は種類も豊富なため、実際に店頭で寝比べ、よりご自身の身体に合ったものを選んでいただくことで、毎日の睡眠にかなりの満足度を得られると人気が高まっています。
マットレスにはどのような種類があるのですが?
始まりは、1971年に発売された「ムアツふとん」。その後、後継機種として2002年に「整圧敷きふとん」が発売されました(2018年~「整圧マットレス」に名称変更)。続いて、2009年に「コンディショニングマットレス AiR(エアー)」、2015年に「&Free 整圧マットレス」が発売され、現在はこの3ブランドが主流となっています。
いずれも特殊なウレタンフォームを使い、“身体を点で支える”タイプのマットレス。表面の凸凹とした形状が特徴です。
「自然な寝姿勢の保持」と「体圧分散」という機能性はどれも共通。細かい構造や素材の違いによる寝心地の差とデザイン、価格などで選んでいただけます。
マットレス3大ブランド「整圧」「AiR(エアー)」「&Free」比較。
「整圧マットレス」の特徴は?
1890個の点で支えるマットレスです。上から、受圧層・分散層・調整層・保持層と4層の特殊立体構造になっており、受圧層と分散層で「体圧分散」、調整層と保持層で「寝姿勢保持」を実現。仰向き寝・横向き寝のいずれにも対応しています。硬さは、レギュラー・ハード・スーパーハードそれぞれ数段階で揃っているので、好みで選択を。
また、全体が上半身・腰部・下半身と3分割された、3つ折りタイプなのもポイント。中身をローテーションできて、長持ちさせることができるんです。
マットレスは、一番重たい腰の部分からへたりが出てくるもの。そのため、腰部だけが傷まないように、他の部分とローテーションして使うと、へたりが1か所だけに集中することなく、できる限り長く使っていただけるのです。
さらに、丈夫さを追求するなら、より耐久性が高い素材を使ったカーボンタイプもご用意しています。
「コンディショニングマットレス AiR(エアー)」の特徴は?
「整圧マットレス」をさらに進化させたコンディショニングマットレスとして開発されたのが「AiR(エアー)」。機能性に加え、デザイン性の高さや、「スポーツと眠り」という切り口で一流アスリートを起用したPRが話題を呼び、若年層や男性からの支持も厚いブランドです。
ベーシックでリーズナブルな「エアー01」から、ハイスペックで高価な「エアーSX」まで4段階揃い、細かいニーズに合わせて選ぶことができます。
「エアー01」は、3層の特殊立体波形凹凸構造で、上層部の凹凸で体圧を分散し、ベース部で寝姿勢を保持。点での支えが強い押圧的感触のハードと、しっかり支えながらも柔感触のベーシックの2タイプがあります。
「エアー03」は、「エアー01」の進化系モデル。約1200個の点で支えます。新ウレタンフォームソムニフォームの採用でクッション性が向上している上、波形凹凸構造のベース部に1層プラスすることで、強度・安定感も増しています。こちらも、ハードとベーシックの2タイプがあります。
「エアーSI」は、「エアー01」や「エアー03」が仰向き寝に適しているのに対し、さらにグレードアップした4層の特殊立体クロススリット構造にすることで、仰向け寝・横向き寝いずれにも対応。1860個の点を3×3のブロックに分け、それぞれのブロックが独立して身体を保持するので、フィット感が高まっているんです。硬さは、レギュラーとハードの2種類があります。
「エアーSX」は、「エアーSI」とは異なる新素材フレスフォームや、新たな調整スリット、両サイドのエッジを強化したカッティングなど、新構造で作られた最上位モデル。1680個の点が身体を支え、やはりフィット感や寝心地は抜群です。こちらもレギュラーとハードの2種類があります。
ちなみに、「エアー」は全て1枚構造。3つ折りをしない代わりに、マジックテープ付きでくるりと丸めて収納できます。
「&Free 整圧マットレス」の特徴は?
個々に合わせた質の高い眠りを提供するためのパーソナルフィッティングを推進する過程で、その一環として生まれたのが新トータル寝具ブランド「&Free」。オーダーメイド枕や、オーダーメイドによる羽毛布団、真綿ふとんなどをラインナップしています。
「&Free 整圧マットレス」は、「整圧マットレス」と同様、上から、受圧層・分散層・調整層・保持層と4層の特殊立体構造。上層部で「体圧分散」、ベース部で「寝姿勢保持」を行い、仰向け寝・横向き寝のいずれにも対応しています。硬さは、レギュラーとハードの2種類。いずれも3つ折りタイプとなっています。
マットレスはオーダーメイドできないのですか?
最近、多様化するニーズに応える新商品として、異なる硬さのパーツを組み合わせられる「&Free パターンオーダー整圧マットレス」の展開を始めました。頭部と腰部と脚部のそれぞれを2分割、マットレス全体を6分割して、それぞれにどのパーツを使うのかを選べるのです。
パーツは、上層部はしっとり柔らかで下層部はしっかり支える「グリーンパーツ」と、上層部はハリのある弾力で下層部はしっかり支える「ブラックパーツ」、標準素材で幅広く使える「グレーパーツ」の3種類を用意しています。どれも体圧分散性は同じで、要は触感と反発力が違うというイメージですね。
硬さや柔らかさの感じ方は、一人ひとりによって異なるものですし、腰は敏感だけれど脚は鈍いなど、同じ人でも部位によって感度が異なるもの。そのため、どうしても一枚もののマットレスだと、100%満足というのは正直難しいところがあります。しかし、このパターンオーダータイプなら細かく設定できますので、満足度を限りなく100%に近づけられると考えています。
例えば、肩部には柔らかい「グリーンパーツ」を使うことで、沈み込みをサポート。これで、横向き寝や寝返りがしやすくなります。背中のくびれ部には、凸部が沈み込みにくい「グレーパーツ」を。脚部には、高密度・高弾性素材の「ブラックパーツ」を使うことで、フィットするものの沈み込み過ぎません。かかとには、優しいタッチの「グリーンパーツ」。かかとを沈ませ、膝まで凹凸があたるようにフィットします。特に女性はかかと部分に柔らかさを求める方も多いため、是非3種類のパーツを付け替えて、その寝心地の違いを確かめていただきたいです。
天日干しの手間が無く、部分替え可能なのもマットレスの魅力。
自宅でのマットレスの手入れ方法は?
敷き布団と違って綿ぼこりが起こらず、天日干しの必要もありません。起きた後はそのまま室内に立てかけ、風を通して湿気を逃がすだけでOKですよ。手入れがめんどうでないのも、マットレスの魅力です。
やはり、へたったら買い替えになるのでしょうか?
そうですね。ただし、6分割の「&Free パターンオーダー整圧マットレス」は、パーツ販売もしていますのでへたった部分のみ取り換えることも可能です。お気軽にご相談ください。
まず、敷き布団やマットレスは、睡眠中に私たちの身体にかかる加重の大部分を支える役割を果たしています。
そして、質の高い眠りを得るために最も基本となる条件とされているのが、「自然な寝姿勢の保持」と「体圧分散」。私たちの身体は頭から足先まで一直線ではなく、出っ張ったり引っ込んだり、横から見ると曲線を描いていますよね。その自然な曲線を寝ている間も無理なく保ち、さらに身体の一部分に負担をかけすぎないよう体圧を分散し、血行を妨げないような敷き寝具であれば、ぐっすり快眠できるというわけです。