ふとんのお悩み解決室
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【決定版】ダック、グース?
もう悩まない、
プロが教える羽毛布団の選び方
店頭やネットで羽毛布団を探すと、価格帯はピンからキリまで。実際に商品についているタグを見ても良く分からない。ダウン90%以上?ダウンパワーってなに?ゴールドラベルって?何が違うの?という方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、羽毛布団の種類とそれぞれの違い、特徴をご紹介。納得のいく羽毛布団との出合いをお手伝いします。
スリープインテリア館ミヤサカ
宮坂 瑞穂
創業97年目、長野県長野市と千曲市に3店舗を構える「スリープインテリア館ミヤサカ」の4代目の夫人。広大な敷地を誇る「川中島店」には、リーズナブルなものから上質なものまで、幅広い羽毛布団を取り揃えている。
ダックとグースの違いや「ダウン」「スモールフェザー」「ラージフェザー」の違いは?
羽毛布団には、どのような鳥の羽毛が使われているのですか?
「グース」と「ダック」では、どちらの羽毛が良いのでしょうか?
そもそも、なぜ羽毛は暖かいのか?についてですが、たくさんの羽毛を集めると、大きな空気層≒断熱層が生まれます。専門用語でデッドエアーといいますが、このデッドエアーが多く含まれるほど、熱(≒体温)を逃がしません。魔法瓶をイメージしていただいてもよろしいかと思います。
ダックよりもグースのほうが良いとされるのは、種として身体が大きく、それに比例してひとつひとつの羽毛(「ダウンボール」と呼んでいます)が大きくなるので、含まれるデッドエアーがたくさんになるからです。
また、ダウンボール自体が大きいと少ない量でより多くのデッドエアーを生み出すため、軽くなるという利点がでてきます。
ダウンの中にたくさんの空気が含まれることにより、羽毛布団は「かさ高」が増します。
質の良いダウンを使った羽毛布団はかさ高がでるため、ボリュームも増します。特に、羽毛布団をかけていただくと、体温が羽毛の中の空気に移り空気が膨張するため、よりボリュームが増すんですよ。
つまり、グースのほうがより軽量で暖かく、ダックよりも良いとされるというのがお答えになります。ただ、ダックが悪いかというと決してそうではなく、人工的に作られた安価な素材に比べると、防寒に優れた良い素材であることに変わりはありません。
余談ですが、繁殖用として1年以上飼育されたガチョウの羽毛は「マザーグース」と呼ばれ、同じ品種でも大きなダウンボールが採取できるので、さらに保温性に優れた羽毛として人気です。マザーグースを使った羽毛は比較的高価ですが、長く良いものを使いたいと仰るお客様には非常に人気の品種です。
「ダッグ」「グース」「マザーグース」の違い
ダック
保温力 ★☆☆☆☆
体の小さいアヒルの羽毛なので、他のダウンと比べてダウンの大きさが比較的小さい。
また、ダックの羽毛は比較的安価なものが多いため、「羽毛布団をはじめて使う方」や「来客用」などにはおすすめ。
グース
保温力 ★★★☆☆
グース(ガチョウ)は水鳥の中でも体が大きいため、取れるダウンも大きく、保温力がUPします。
大きいダウンは高品質で弾力性もあるため、軽くて掛け心地の良い羽毛布団になります。羽毛布団を大事に長く使いたい、という方はグース以上がおススメ。
ダックダウンの羽毛よりも高価になります。
マザーグース
保温力 ★★★★★
マザーグースは繁殖用の親鳥で1年以上程度飼育されているため、通常のグースよりも体が大きくなります。
大きいダウンボールが空気をたっぷりふくみ、保温性が高まります。ハリ、弾力性もこの中で一番。羽毛布団の中身としては最上級の部類になります。
羽毛布団を10年以上、そのままの使い心地でキープしたいという方におススメ。グースダウンよりも高価になります。
- ※保温力はあくまでも参考です。羽毛は産地や洗い方によっても保温力が変わってきます。
最上級品の「アイダーダックダウン」とは?
「ダック」の中でも、「アイダーダック」の羽毛は良いと聞いたことがあるのですが?
先程、グースのほうがダックよりも優れていると申し上げましたが、別格のダックがあります。それがアイダーダック(和名:ホンケワタガモ)です。
アイダーダックの羽毛は独特で毛先(羽枝と呼びます)が複雑な形状をしていて、部分的にフック状になっています。フック状の部分があることでダウンボール同士がしっかりと絡みあい、ダウンボール同士の間にある小さな空気のカタマリが温度を保ち優れた断熱効果を生み出します。
唯一の欠点は生産量が限られていることです。
アイダーダックは北極圏に近い北半球に棲息する水鳥で、なかでもアイスランドはヨーロッパ全体のおよそ3分の1が生息するといわれています。アイダーダックのメスは繁殖期を迎えると、ホルモンの変化により胸毛(=羽毛)が自然に抜け落ちます。卵を産む際に、断熱材の役目を果たしている羽毛で、自分の体温が直接卵に伝わるようにするためです。そうして親鳥は卵の周りを自らの羽毛で囲む形に巣を作ります。この巣の中の羽毛を拾い集めてふとんの原料とするわけですが、野生の鳥なので採取できる量には限りがあります。
なので生産量に限りがあるのです。
アイダーダックの羽毛はアイダーダウンと呼ばれ、その希少性と優れた保温性の高さから最上級品とされます。
羽毛と羽根の違い?「ダウン90%」って何?
羽毛の表示について教えてください
羽毛の品質表示にはダウンとかフェザーといった用語が使われます。「ダウン」は胸部に密生し、羽軸がなくフワフワとしたタンポポのような綿毛状の羽毛のことです。その形から「ダウンボール」と呼ばれます。
「スモールフェザー」は、腹部に生えている細い羽軸のある小さな羽根です。羽毛の品質表示に書かれているフェザーは主にこのスモールフェザーを指します。
「ラージフェザー」は翼の部分に生えている羽軸を持った大きな羽根で、羽毛布団には使用されません。
「スモールフェザー」よりも「ダウン」の方が、たくさんの空気を含み保温性に優れています。そのため、羽毛布団一枚あたりに含まれる「ダウン」の比率が高いほど、さらにその「ダウン」ひとつひとつの「ダウンボール」が大きいほど、ふっくら温かい羽毛布団であると言えます。
羽毛布団と羽根布団は別物ですか?
羽毛布団とは、「ダウン」を50%以上使ったふとんのこと。50%未満のものは、羽根布団と呼ばれます。
また、「ダウン90%の羽毛布団」なら「ダウン」が重量比で90%、「スモールフェザー」などが10%詰まっているという意味。空気を多く含む上質な「ダウン」の比率が高いほど、保温性が高く高品質な羽毛布団ということになります。
ただし、同じ「90%」の羽毛布団でも、ダウンの品質によってボリューム感が大きく違ってきます。ダウンボールが大きく、しかも放射状に羽枝が密生しているものほどより軽く、より温く、よりボリュームのある羽毛布団に仕上がります。
「ゴールドラベル」や「ダウンパワー」とは?
一般的に販売されている羽毛の中に「ゴールドラベル」などのマークがついている商品があります。これは、日本羽毛製品共同組合が発行する品質推奨ラベル(※1)で、羽毛のダウンパワーにより4段階にランク分けされています。西川の羽毛にはついていないんですか?とよくご質問を受けますが、西川の羽毛はこの基準ではなく、自社の厳しい基準を基に羽毛ふとんを製造・販売しているため、このマークを使いません。
マークのあり無しに関わらず、是非羽毛布団を触って体感していただきたいと思っています
また、ダウンパワーとは保温性の目安となる数値で、数値が高いほど保温性が高いといわれています。西川の羽毛は、洗浄後に「フレッシュアップ加工」という加工を行い、羽毛を最大限膨らませるための処理を行います。100℃以上の高温スチームを羽毛にあてふっくら感と風合いを引き出し、不純物を取り除き、キレイで保温性の高い羽毛を使っています。
フレッシュアップ加工後の羽毛は通常の羽毛より保温力が『プラス2℃』あがる、という結果も出ているんです。
羽毛布団の心地良さには、生地の良し悪しも大切。
中身の羽毛だけではなく、生地も寝心地に左右するのでしょうか?
羽毛布団の生地は、中身のダウンが外に出てくるのを防ぐため極細の繊維が使われます。羽毛の柔らかさやかさ高性などの特性を最大限生かせるよう、軽く薄手で、風合いのソフトな生地が望ましいとされます。また、そのような生地を追求すればするほど、寝心地の良い羽毛布団に仕上がります。
具体的にはどのような種類があるのですか?
最も一般的なのは綿の生地です。ただ、同じ綿でもより極細な「超長繊維綿」を使用した生地は、柔らかくしなやか。いわゆるドレープ(フィット)性に優れ、ワンランク上の使用感が得られます。
せっかく良い羽毛を使った布団でも、ドレープ性が良くないと襟元に隙間ができ、温かい空気が逃げてしまいますからね。
また、ユーカリの木が原材料の環境にやさしい繊維「リヨセル」を使った生地もおすすめ。肌にやさしくソフトなタッチで、ドレープ性に優れているのはもちろん、吸・放湿性や耐久性なども綿に比べて優れています。
羽毛布団の最上級品の生地に使用されるのはやはりシルクです。耐久性はやや劣りますが、なめらかで、心地よい触感、フィット感や吸湿・放湿性など、他の素材とは一線を越えています。
目に見えない内側の縫製(キルティング)について
羽毛と生地の他に、気にするべきポイントはありますか?
内側の縫製にも違いがあり、長く使っているうちに違いが出てきます。
一般的な「立体キルト」は、寝返りなどで羽毛が移動し、片寄りが発生することもしばしば。羽毛が片寄ってしまうと、フィット性や保温性が損なわれます。特に襟の辺りの羽毛は動きやすいので、長く使っているうちに首元がすかすかしてきた・・・ということも。
こうした片寄り防止を追求して生まれたのが、西川の完全立体キルトです。独自の構造で、長く使っても羽毛が移動することなく、快適に過ごせます。
さらに進化して、ボディラインに沿ったキルティング加工が施されたものも。より身体にフィットして、高い保温性に包まれます。
このように、羽毛布団を選ぶ際には、羽毛だけでなく、生地、内側の縫製(キルティング)の3つがポイントに。それぞれの質に比例して、価格も高くなります。
羽毛布団のリフォームを承る際に、中身を確認させていただくことがありますが、粗悪な羽毛布団は一般的には使用しないラージフェザーが使われていることも。コストを下げるためにラージフェザーを細かく切って混入しているんです。そうしたものは大抵、生地の質も悪く、重いため、直ぐにへたってしまいます。
本来の良質な羽毛布団は暖かく快適な上、へたりにくいもの。クリーニングやリフォームといったメンテナンスを定期的にしていくことで、上手に長くお使いいただくことが可能です。
西川ではメーカーの担当者だけでなく、私たち西川チェーンの代表者が一緒に現地に赴き、質の高い羽毛を厳選して買い付けています。メーカーとお店のダブルチェックです。地域の皆さんの健康は私たちが守るという気持ちで真剣に商品開発に加わっています。
当店では数万円のものから200万円を超えるものまで、幅広い羽毛布団を取り揃えています。
横になって試して下さい、と申し上げると大抵の方は試されます。でもやっぱり、遠慮される方もいらっしゃるんですよね。
お洋服は似合うかどうか、サイズが合っているかどうか、大抵の方は試着されますよね。そういった感覚で羽毛布団も寝てみて確かめて、納得の行くものを選んでいただきたいんです。
羽毛布団も手で触った感触と実際に寝てみるのとでは結構違ってくるものなんです。
試した後で、「やっぱり今日は買えない」でも全然構いません。また、今日は見るだけといった方の体験も大歓迎です。
羽毛布団の良さを知っていただくために体験は必要なので、わざわざお越しいただいた方は試して寝ていただく権利があると思っていただければと思います。
羽毛布団選びのポイントまとめ
- 水鳥の羽毛は、「ダック」→「グース」→「マザーグース」→「アイダーダック」の順に品質がよくなる。
- 羽毛の種類は、「スモールフェザー」よりも「ダウン」を多く含む方が、軽くボリューム感があり、さらに温かさが増す。
- 外側の生地は一般的に極細ですが、さらに繊維が細くなればなるほど、しなやかさやドレープ(フィット)性などがアップする。しかし何といっても、シルクが一番気持ちいい。
- 内側の縫製は、一般的な「立体キルト」よりも「完全立体キルト」の方が、羽毛が片寄らずに長く使える。
- やっぱり、体験してみるのがいちばん(←これ重要)!
眠りを左右する重要な要素のひとつが保温性です。その保温性を大きく左右するのが羽毛布団です。
長く使うためにもこれら5つのポイントをもとに選んで下さい。
眠りや寝具の相談
西川チェーンの店では、寝具の販売だけではなく、眠りに関する幅広いサービスを提供しています。眠りに関することは何でもお気軽にご相談ください。
こだわりの上質な暮らしをお届けする「プルミエール」
「プルミエール」はお客様の健やかな笑顔を想い、対話や交流を通して、お客様にとってこだわり『つくりのいいもの/匠の技・高機能品質・洗練されたデザイン』をひとつひとつ足していく、こだわりの上質な暮らしをお届けするブランドです。
羽毛布団の中身は水鳥の胸の部分に密集しているタンポポのような綿毛(ワタゲ)が使われています。このタンポポのような綿毛を私たちは羽毛と呼んでいます。ニワトリのような陸鳥にはこの羽毛が備わっていないので、羽毛布団に使われることはありません。
水鳥は主にガチョウ(gooseグース)とアヒル(duckダック)の羽毛が使われます。一般的には身体の大きいガチョウ(gooseグース)のほうがひとつひとつの羽毛が大きく高品質とされます。
ガチョウの中でも、寒さの厳しい地域ほど、良質の羽毛を持った品種が飼育されています。