滋賀県/近江八幡市
近江八幡の隠れ家
『bistro だもん亭』で
ヴォーリズ建築と
カリフォルニア料理を堪能
街のふとん屋さんが近所の美味しいグルメ店を紹介する『おいちい』。bistro だもん亭」です。
今回は西川甚五郎本店のある滋賀県の近江八幡市のおすすめグルメを前編と後編に分けて、 取材スタッフがご紹介します。前編は「
ヴォーリズ建築と手作り陶器を堪能しながら
ゆっくり食事ができる貴重な空間
アメリカ人建築家「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」といえば、日本で数多くの西洋建築を手懸けた建築家であると同時に、近江兄弟社の創立者の一人としてメンソレータム(現メンターム)を日本に普及させた実業家としても知られています。近江八幡にはヴォーリズ建築と呼ばれる、彼の設計した建物が今でも数多く残されており、それら貴重な建物のひとつで、お食事ができるのがこの「bistro だもん亭」です。
庭を望む広々とした和室は、飾り障子や欄間など細部にもヴォーリズ氏のこだわりが見れて楽しめます。
大正ロマンを感じる洋室も素敵です。窓が多くて自然光が気持ちいいです。
店内のところどころには素敵な陶器が並べられています。
「bistro だもん亭」を営むダレン・ダモンテさんは陶芸家でもあり、食器も全てダモンテさんの作品です。
天然酵母のパンは庭にあるこの窯で焼かれています。
歴史を感じるヴォーリズ建築と、ダモンテさんの温かみと優しさを感じる陶器は見ているだけでも癒されますね。
おもてなし感満載の
カリフォルニア風スローランチ
だもん亭のランチメニュー。近所で採れた野菜を使ったり、パスタも自家製だったりで食材へのこだわりを感じます。
ランチ、ディナーともに完全予約制で、今回はダモンテさんおすすめの「スローランチ ¥3,500(パン、スープ、野菜、パスタ、メイン、デザートなど約8品のコース)」をあらかじめ電話予約しておきました。
席に案内されて、まずは飲み物をオーダーしました。
こちらは「今日のしぼりたてジュース」。リンゴとにんじんのフレッシュジュースです。
すりおろしたリンゴとニンジンの食感も残しつつも、さらっとして、とても飲みやすい仕上がりでした。
こちらは「季節のシュラッブ」。
初めて聞いた飲み物ですが、果実酢のシロップを炭酸水で割った飲み物ということです。
「伊江島産黒糖コーラ」
伊江島って沖縄のようです。コーラというとジャンクフードの代名詞みたいですが、この黒糖コーラはどこかノスタルジックな甘さで、なんだか身体に良さそうな感じがします(笑)。
まず運ばれてきたのは、自家製天然酵母パン。
天然酵母独特のやさしい酸味と、焼きたての香ばしさ、もちっとした食感に感動します。噛むほどに味わいが深まる、どっしりとしたハードパンです。
添えられてるピーナッツバターも自家製。まさに豆をすり潰したという感じで、脂っこくなく、とってもナチュラル。自家製パンとの相性抜群です。
続いて焼きトマトのスープ。
濃厚でスープというより、もはやソースに近いです。トマトの酸味と風味が食欲を掻き立て、続く料理が楽しみになります。
ブロッコリーと、滋賀県産の日野菜(ひのな)と呼ばれる滋賀県発祥の伝統野菜を使ったサラダは、カリカリ、シャキシャキ、ふんわりなど様々な食感が楽しめる一品でした。軽く炙ったブロッコリーは、素朴で芳ばしい香りが口いっぱいに広がります。ブロッコリーに限らず、こちらのサラダは、しっかり噛みしめて味わうといった趣きで、そうしたところが先程のパンと同じく、ダモンテさんの食材に対する愛情を感じます。
器の色もきれいで、新鮮な野菜をより魅力的に引き立てています。
そして、自家製の生パスタ。平麺タリアテッレのボロネーゼです。
もっちりパスタにやさしい味のボロネーゼソースが絶妙なハーモニーです。
この日のメインはキジハタのアクアパッツァ。
器も熱々でグツグツいっています。
トマト、レモンを煮込んだ甘酸っぱさが、キジハタのさっぱりとしたプリップリな食感にとても合い、
スープもあっという間に無くなってしまうほど、箸が進みます。
デザートは、柿を使ったケーキとレモンバーベナというハーブを使ったアイスクリーム。材料のレモンバーベナも表の庭で採れたものだとか。レモンバーベナをはじめ、料理に使う全てのハーブは表の庭で自家栽培していらっしゃいます。
どちらも、初めて体験する味だったのですが、感動するくらい美味しかったです。柿を使ったケーキはなんとか想像つくと思いますが、レモンバーベナのアイスは少し不思議な味で説明するのが難しいです。ぜひ実際に味わっていただきたいです。
料理を説明するダモンテさん。本当はもっとお話しをしたかったのですが、この日はもう一組お客様が見えられていて、料理とホールをお独りでこなしているダモンテさんとゆっくり出来なかったのが残念でした。
素材を生かした料理と手作りの器を通して、ダモンテさんの温かい人柄が十分に伝わった、ほっこりとしたひと時を過ごすことが出来ました。
建築家ヴォーリズ氏が設計した建物。
そしてダモンテさんが作った器で食べる、カリフォルニア料理。
近江八幡を愛してやまないお二人の共同作品ともいえる「bistro だもん亭」で、気取らずゆっくりと地元食材を味わうスローランチはいかがでしょうか。
完全予約制なので、しっかり旅の予定を組んで近江八幡へ向かいましょう。