西川チェーンって
どんな店?
接客中から購入後のお客様にも寄り添う
「加納屋」社長 インタビュー編
今回は、浦和にある寝具店・加納屋の荒蒔(あらまき)氏にインタビューを行いました。近年、子育て世代が続々と移住する浦和において、埼玉県による「パパ・ママ応援ショップ」推進当初より加盟店の加納屋は「お客様に寄り添う」をモットーに、さまざまな層に向けた取り組みを実施しています。ほかにもマットレスのレンタルサービスに込められた思いや、独自のニューズレターから生まれるお客様との交流についても伺いました。
前回のお店紹介編はこちらから。
ベッドタウン浦和で息づく加納屋の歴史と強み
お店の歴史を教えてください。
荒蒔氏昭和20年12月に先々代の福治が浦和で開業しました。それ以前は東京の両国で寝具店を営んでいましたが、東京大空襲に遭い、本家のある桶川市に疎開いたしました。その数ヶ月後、福治の兄が住んでいた浦和に引っ越したのが当店のはじまりです。
法人化したのは昭和27年。社員も40名ほどに増え、現在店舗がある場所に工場を建てて綿の製造卸を始めました。しかしながら時代が進むにつれ綿の需要が減り、昭和63年先代恒治が工場の跡地に店舗を構え、現在に至り私で3代目になります。
地域性と客層についてお聞かせください。
荒蒔氏地域密着型の店舗ですが、さいたま市以外からのお客様も多く、北は大宮区、鴻巣市、熊谷市、南は川口市、蕨市、戸田市などからもお越しになられます。都内からはオーダー枕のお客様もご来店くださいますね。受験生など10代のお客様もいらっしゃいます。
浦和は、現在70~80代ぐらいの人たちが東京から移住してベッドタウンになったという経緯があります。高級志向な方が多く、当店が初期から取り扱っている西川製品の上質なイメージの後押しもあり、地域の皆さまに愛される店舗として根付きました。
今は埼玉県が子育て支援に力を入れていることもあり、若いご夫婦が引っ越してきて街全体も若返っています。上野東京ライン、湘南新宿ラインで、東京へも新宿へも30分かからずに行けますから便利ですよね。
西川チェーンに加盟した経緯を教えてください。
荒蒔氏西川とのお取引は、現在の店舗をつくった年の1年後にはじまりました。近所に住んでいた西川の社員さんからのオファーがきっかけだったそうですが、先代としても経営の可能性を広げたかったこともあり、西川チェーンが持つノウハウは店づくりのヒントになると考えたようです。
当時から西川製品は高級で上質なイメージがあり、お客様からも評判でした。私は子どものころから西川の布団で寝ていて、夏でも快適に熟睡していた記憶があります(笑)。そんな経緯から圧倒的な信頼感があり、今では当店の仕入れの99%が西川商品です。やはり一流企業なので自信をもっておすすめできますね。
また、西川にはディスプレイの先生がいらっしゃるので、陳列に関するアドバイスも取り入れています。例えば、店内は圧迫感を感じさせないように天井近くには軽く見える商品を置いたり、初めてのお客様にも分かりやすいようにコーナー分けをしていて、入ってすぐの場所にはギフト小物や季節商品を配置しています。
どんな商品がよく売れますか?
荒蒔氏オーダーまくらや整圧マットレスをご購入いただくお客様が多いですが、広域から羽毛ふとんでご来店いただくお客様や、真綿ふとんもご購入いただくお客様も多いです。高品質なだけあって寝ていてすごく気持ちいいのと、使い勝手・お手入れが楽なのも理由の一つではないでしょうか。
若いお客様ほどお仕事でお疲れの方が多く、少しでも良い睡眠が取れればと枕合わせにご来店されます。その時に、整圧マットレスやAiRなどに関心を持たれ、驚かれたご様子で「これは家の布団と全然違う!」と、仰っていただきます。
おうち時間が増え、よりぐっすり快適に眠れるマットレスをご購入されるお客様が増えています。日本人は睡眠時間が少ないと言われているので、眠りに対する意識が高まったのは良いことだと考えております。
埼玉県が推進する子育て支援「パパ・ママ応援ショップ」への加盟経緯を教えてください。
荒蒔氏「子育てで大変なお父さん・お母さんが少しでもぐっすり眠れるよう力になりたい」との思いから、埼玉県が立ち上げた当初から加盟しています。これは県下の子育て世代には専用のカードが配られ、例えばレストランなら「ドリンク1杯サービス」など、店ごとに決められたサービスを受けられる制度です。
現在当店では、2万5千円以上(現金にて)お買い上げいただいた方を対象に5%割引のサービスをしております。また、カードご提示の皆様に金額に関係なく、今治ハンカチタオルをプレゼントしています。パパ・ママ応援ショップとして浸透しており、お客様から大変ご好評をいただいております。お子様が成長してカードを使えなくなった後でも、ほとんどのお客様が当店をご贔屓にしてくださっています。
また、当店は通路を広くしているのでベビーカーも入りやすく、安心してお買い物を楽しんでいただけます。ママ友から紹介されてのご来店も多いですよ。
お客様の悩みに寄り添う接客と
購入後も生まれる交流
加納屋の接客方針について教えてください。
荒蒔氏まずお客様の悩みに寄り添うこと。お客様より細かくお話を伺い、最適な眠り方や商品を提案し、試していただきます。当店の場合は、1名あたり平均40分から1時間は接客していますね。
最近は、デスクワークによる首肩のコリや寝つきの悪さといったお悩みをよく伺います。若いお客様はインターネットで事前に調べ、欲しい商品が明確に決まっていることが多いです。
それで、色々なお店を回ってお考えになって当店にいらっしゃいます。しかし最後にはやはり納得できる説明が決め手になるようで、当店に戻ってきてくださるんですよ。当店はお客様ひとりひとりに合わせて商品をご紹介いたしますので、枕とマットレスの最適なコーディネートもご提案可能です。
接客方法はどのように学ばれましたか?
荒蒔氏学生時代は物販とは全く違うアルバイトをしており、就職も異業種でした。継ぐことを決めてからは大井町にあった寝具店に修行に出ました。丸4年もの間、社長や奥様に大切に育てていただいたおかげで、様々なことを一から学ばせていただきました。インテリア関係も扱っていたお店でしたので、カーテンや絨毯のことまでも教えていただき、身についたことが多かったです。
何より奥さまが、お客様の話をじっくりとお聞きし、そのお客様のことを考えてお話しするので、その接客を傍で見ているだけで十分勉強になりましたね。接客に引き込まれるような魅力がありました。お客様もおすすめされるとうれしそうで、私もそこを目指さないといけないな、と感じました。
私の修行最終日、その奥さまが「今日から私たちは対等よ」と温かく送り出してくれたときは涙が出ましたね。今でもその言葉が大きな励みになっています。
お客さまへの情報発信はどのようにされていますか?
荒蒔氏若いお客さまはインターネットの検索から来店される方が多いので、googleを利用して商品情報と画像を中心に、週1回は更新しています。
また、来店後のお客さまともご縁をつないでいきたいので20年以上前から、初めてのお客様にお礼状をお送りしたり、ご登録いただいた方に向けて「ニューズレター」という独自のお便りを1年に7回ほど送付しています。
私は歴史と絡めた紀行文を書くことが多いのですが、それをきっかけに当店のファンになってくれる方もいらっしゃいます。私のニューズレターを楽しみに待ってくださっているお客様もいるので続けていきたいですね。
印象的なお客様とのエピソードはありますか?
荒蒔氏他店で購入した羽毛布団をリフォームされたい、というお客様が来店されました。診断したところ、羽毛の質も保たれていたのでリフォームの必要がなく、「丸洗いのクリーニングだけで充分ですよ」と正直にお伝えしたところ、「こんなに親切に教えてくれるお店はない」と、大変感動してくださいました。遠方にお住まいにも関わらず「何かあったときは絶対ここに来ますから」と、今も定期的にご来店いただいています。
お客様より感謝のお手紙やニューズレターへのファンレターもいただくんですよ。それで私もお返事を書くから文通みたいになって(笑)。
ほかにも、他店で欲しい商品を見つけて、その製品番号を調べて「このお店で買いたいから」と、わざわざうちで取り寄せて購入してくださるお客様もいたり、お孫さんへのプレゼントとして寝具をご購入された方が、お孫さんからの感謝の言葉を電話で報告してくださったり……ありがたいですよね。来店後もご縁が続くようなコミュニケーションを心がけているので、お客様との絆ができているのだと思います。
ニーズを読み取った独自サービスをいち早く展開
加納屋独自の取り組みはありますか?
荒蒔氏当店は15年以上前から健康敷きマットレスのレンタルサービスを行っています。高価格帯のマットレスは勇気のいるお買い物ですが、使わずに諦めるよりはお試しいただきたいという思いですね。1週間使っていただいて、合わない時にはご返却いただきます。
でも、ご購入されるお客様の方が多いですね。ご自宅の敷き寝具と寝比べていただくと、その心地良さが本当に分かるんです。腰や背中が楽になったという喜びの声も多いですよ。
物販には全く関係なく、夏に講師を招いてハーバリウムやフラワーアレンジメント教室などを行っています。会員様向けに年に1回程度ですが、定期的に開催し、大変喜ばれています。今はコロナ禍で開催できていませんが、終息後には再開したいと考えています。
今後の展望についてお聞かせください。
荒蒔氏時代が進むにつれ、西川の商品はどんどん機能的になっています。お客様のニーズや研究に沿って常に進化しているので、店側も時代に沿った対応をしなければなりません。
また、当店は今年で創業75年を迎えました。近年は特に、お客様との絆ができたという実感があるので、ご縁を継続することを最大の目標としています。
幅広い層のお客様が来店されるようになりましたが、お客様に寄り添う接客はずっと続けないとなりません。お客様のお悩みを引き出し、解決に導けるような店でありたいというのは事前に常に考えています。寝具の力が徐々に認知されてきたとはいえ、まだまだ潜在的に眠りのお悩みを抱えた方は大勢いらっしゃると思います。そういう方に来店いただきたいですし、これからも私たちはお客様の幸せのために仕事をしていきます。
加納屋
-
住所
〒336-0931
埼玉県さいたま市緑区
原山2丁目2−11 - 電話番号 048-881-2706
- 営業時間 10:00~18:00
- 定休日 水曜