共同研究

産・官・学各界の研究者と推進している
共同研究の成果をご紹介します。

nishikawaの4層特殊立体構造マットレス使用による睡眠の質・腸内フローラへ及ぼす効果

■試験概要

当社の研究機関である日本睡眠科学研究所と、抗加齢医学研究の第一人者である同志社大学大学院生命医科学研究科/アンチエイジングリサーチセンター米井嘉一教授と共同で、nishikawaの4層特殊立体構造マットレスの使用による睡眠の質の改善と、それがもたらす作用について検証いたしました。

  • 被験者

  • 睡眠の質に不満をもつ軽度肥満の50~65歳男女12名
  • 試験品

  • [エアーSX]マットレス(4層特殊立体構造マットレス)
  • 試験スケジュール

  • 試験品を8週間使用し、使用開始前と使用8週間後に検査を実施

■試験結果

1.腸内フローラが変化(「Bacteroides属」、「短鎖脂肪酸(SCFA)関連細菌群」が増加)

今回の結果では、睡眠の質が改善することで腸内フローラのうちBacteroides属細菌の割合が増加し、さらにBacteroides属細菌を含む短鎖脂肪酸(SCFA)関連細菌群の割合が有意に増加しました。

短鎖脂肪酸(SCFA)が増加することにより、免疫能や糖代謝、エネルギー代謝の改善、更には基礎代謝の増加、体温上昇、インスリン感受性の改善、脂肪分解促進等が報告されています。より長期的に良好な睡眠を保持できれば、肥満改善に繋がることが期待されます。

[腸内細菌叢 T-RFLP解析]
・Bacteroides属細菌の割合が有意に増加(p<0.001、使用前と使用8週間後を比較)。
・その他(others)に属する最近の割合が有意に減少(p<0.01、使用前と使用8週間後を比較)。
・短鎖脂肪酸(SCFA)生産に関与する細菌※1の割合が有意に増加(p<0.05、使用前と使用8週間後を比較)。
※1 短鎖脂肪酸(SCFA)生産に関与する細菌;Bifidobacterium属、Coriobacteriaceae科、Lactobacillales目、Bacteroides属、Clostridium cluster IV(Ruminococcaceae科)、Clostridium subcluster XIVa(Lachnospiraceae科)
  • 腸内細菌叢 T-RFLP解析
  • 腸内細菌叢 T-RFLP解析 値名

2.主観的な睡眠の質が改善

  • 睡眠障害の評価に用いられる「ピッツバーグ睡眠質問票」の結果では、睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、日中覚醒困難、総合得点の主観評価が有意に改善されました。
    また、起床時の睡眠内省を評価する心理尺度「OSA睡眠調査票MA版」の結果では、起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間の主観評価が有意に改善されました。

    [ピッツバーグ睡眠質問票]
    PSQI総合得点(PSQIG)が8.8 ±1.9から3.8 ±1.3に有意に改善(p<0.01、使用前と使用8週間後を比較)
    [OSA睡眠調査票MA版]
    「起床時眠気」「入眠と睡眠維持」「疲労回復」「睡眠時間」の主観評価が有意に改善
    (p<0.01,p<0.01,p<0.01,p<0.05、それぞれ使用前と使用8週間後を比較)
  • ピッツバーグ睡眠質問票総合得点

3.主観的な身体と心の症状が改善

身体や心の症状の問診に用いられる「抗加齢QOL共通問診票」の結果では、以下項目の改善が認められました。

[抗加齢QOL共通問診票]
<身体の症状>目がかすむ、肩がこる、ふとりやすい、だるい、口渇、食欲不振、関節痛、むくみ、汗をかきやすい、のぼせが有意に改善
<心の症状>意欲がわかない、幸せと感じない、日常生活が楽しくない、眠りが浅い、寝つきが悪い、くよくよする、ど忘れする、心配ごとでよく眠れないが有意に改善

■結論

  • 試験品寝具の8週間の使用により「睡眠の質」が向上することが再確認された。
  • 腸内細菌叢解析ではBacteroides科細菌の割合、SCFA関連細菌群の割合が有意に増加した。
    ⇒これらの所見より、「睡眠の質」向上が腸脳連関を介して腸内細菌叢の変化を惹起し、細菌代謝産物(LPS、SCFA)を介して免疫能ならびに糖代謝・エネルギー代謝の恒常性維持に好影響をもたらす可能性が示唆された。
  • これまで睡眠とBacteroidesとの関係を示す報告はなく、睡眠の質改善がBacteroidesを増加させるというのは新規所見である。腸脳連関が関与すると予想されるが、詳細な機序の究明については今後の研究が待たれる。

<今回の結果に関する教授のコメント>

脳機能と腸管機能は互いに影響を及ぼしあうことが知られ、腸脳連関と呼ばれています。今回の臨床試験では「睡眠の質」の向上により腸内フローラが変化することがわかりました。「睡眠の質」は糖代謝と双方向性に影響を及ぼします。例えば、「睡眠時無呼吸」があると糖尿病が悪くなり、糖尿病が悪化すると「睡眠時無呼吸」が進行し「睡眠の質」は増々低下します。腸内フローラの変化がこの二つの現象を結びつけているのかもしれません。画期的な発見だと思います。

<今回の結果に関する日本睡眠科学研究所 安藤 翠のコメント>

腸は、食べたものを消化・吸収する臓器というイメージがありますが、実は、体中の免疫細胞の約6~7割が腸内に存在していると言われています。さらに腸内フローラ(腸内細菌叢)が整うと、短鎖脂肪酸などのはたらきによってエネルギー代謝や基礎代謝の向上に繋がり、肥満の予防・改善効果が期待できます。その他にも、腸内フローラは肌の状態にも影響を与えます。今回の試験から、日々の睡眠の質を上げることが腸内フローラの正常化に繋がることが示唆され、バランスのとれた食事や適度な運動とあわせて良質な睡眠をとることが、腸内フローラを整えるカギとなると考えます。

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